PTの未来が見えない・・・。
逆に限界が見えている・・・。
セカンドキャリアを考えなきゃ!
PTの平均年収は、全国平均を下回っています。
理学療法士 | 432万5,200円 |
全産業 | 460万円 |
昇給も年功序列の傾向が強く、能力の向上に見合った昇給はありません。
2040年にはPTの供給数が需要の1.5倍になるとも予測されています。
供給が過剰になれば、転職の難易度は上がるいっぽう、給与の改善は見込めません。
だからと言って、他業界に移るのも簡単ではない。
起業なんてもってのほか!
そこで、本記事では「現実的」かつ「PTの知識を活かせる」セカンドキャリアを紹介します。
結論、選択肢は以下の3つ。
・専門学校の教員
・福祉用具メーカー
・医療機器メーカー
他業界に移る自信のない方におすすめの選択肢も紹介しますよ♪
この記事でわかること
・病院から特養に転職して7年目
・転職した途端に職員兼理事に就任
・PTが特養で働く魅力や実情を紹介
「現実的」かつ「知識が活かせる」理学療法士のセカンドキャリア3選
将来が不安なのは事実。
だからと言って、難しいセカンドキャリアに挑戦するのも無理!
PTなら誰でも目指せる職業に絞って紹介するよ!
年収 | 300~650万円 |
仕事内容 | 授業計画の作成と指導、試験の評価、就職支援、学生面談など。 学校運営やカリキュラム改善にも携わり、多岐にわたる役割を担う。 |
応募要件 | ・5年以上の実務経験 ・厚生労働大臣の指定する講習会を修了する(3週間) |
応募方法 | 転職サイトや求人サイト(リクルートエージェントなど) |
必要な スキル | ・理学療法の知識と技術 ・教育スキル ・コミュニケーション能力 ・カウンセリング力 ・時間管理能力 |
職業情報提供サイトによると、全専門学校教員の平均年収は483万5,000円。
PTの平均年収は432万円のため、給与アップが見込めます。
厚生労働大臣の指定する講習会は、週6日の3週間、計18日間を要します。
入社後に受けさせてもらえる求人もあるため、まずは転職エージェントに登録すること。
転職エージェントを使用すれば、非公開求人も含めて紹介してもらえるので、自分で探すよりも選択肢が広がります。
年収 | 350万円〜550万円 |
仕事内容 | 代理店に向けた商品の提案や、販売先へのアフターサポートや研修。 代理店の方に同行して利用者宅への配送や回収業務も行う。 |
応募要件 | 普通自動車免許 |
優遇 | ・営業、販売の経験者 ・理学療法士 |
応募方法 | 転職エージェントや転職サイト(リクルートエージェントなど) |
必要な スキル | ・コミュニケーション能力 ・提案力 ・業界の専門的な知識 ・問題解決力 ・時間管理能力 |
福祉用具メーカーの正式な平均年収を示す情報はありません。
業界全体の給与幅が大きく、職種によっても大きく異なるからです。
それでも、PTの平均年収は上回ると考えられます。
以下は求人サイトに掲載のあった情報。
【某大手メーカーの求人】
月額:23万3,100円~30万6,800円
賞与:4.72か月
35歳、持家、配偶者あり、子ひとりの場合:522万円/年
福祉用具についての専門的知識がすでにあるPTは、就職活動も就職後の営業でも有利になります。
営業職のなかでも、福祉用具メーカーはもっともPTの専門性を活かせると言えます。
平均年収 | 525万4,000円 |
仕事内容 | 病院や代理店に向けて、自社製品を普及させるための営業を行う。 製品の使用方法やメリットを説明し、導入後のフォローやトラブル対応も担当。 |
応募要件 | 普通自動車免許 |
優遇 | ・営業の経験者 ・臨床経験者 |
応募方法 | 転職エージェント(リクルートエージェントなど) |
必要な スキル | ・コミュニケーション能力 ・提案力 ・医療の専門的な知識 ・問題解決力 ・ストレス耐性 |
doda職種図鑑によると、全業界の営業職の平均年収は450万7,000円。
医療機器メーカーの営業は525万4,000円と、それを大きく上回ります。
理由は、営業成績によるインセンティブ制度が設けられていることが多いから。
能力が評価されやすい職場であり、能力によって年収が大きく変わります。
そのため、多忙な業務や厳しいノルマに対応できる強さが必要です。
求人を探す場合は、転職エージェントを使用してください。
専門性が高い分野のため、転職エージェントに求人が多く集まります。
【非現実的】おすすめできない理学療法士のセカンドキャリア5選
PTのセカンドキャリアとしてケアマネとか福祉用具相談員ってよく聞くよ。
この記事で候補に入ってないのはなぜ?
非現実的な理由を説明するね!
・平均年収がPTとかわらない
・昇給率がPTよりも低い
令和5年賃金構造基本統計調査によると、平均年収は421万5,000円。
PTの平均年収432万円を下回ります。
介護施設や病院などPTと同じ職場で働くため、昇給率はほぼかわりないか、医療職であるPTの方が高くなります。
・平均年収がPTよりも低い
職業情報提供サイトによると、平均年収は394万3,000円。
PTの平均年収430万円を大きく下回ります。
それでも、PTのセカンドキャリアとして紹介されやすい理由は、PTの資格が優位に働くから。
資格をもっていると、「福祉用具専門相談員指定講習」という50時間のカリキュラムを受けずに働くことができます。
・応募要件を満たしにくい
【応募要件】
・5年以上の実務経験
・厚生労働大臣の指定する講習会を修了(週6日の3週間、計18日間)
・大学卒業
上記に加えて、「大学院の博士課程の修了」を応募条件とする求人がほとんどです。
この時点で、応募要件をクリアできる人は圧倒的に少なくなります。
これから博士号を取得するにも、大学受験から始まり、最低3年はかかります。
・資格取得が困難
プロチームと契約する場合は理学療法士の資格が条件となります。
しかし、求人倍率の高さを考えると、PTの資格だけでは不十分。
アスレティックトレーナーの資格や、実際のスポーツ現場での経験が必要です。
アスレティックトレーナーの最高峰資格であり、多くの人が取得するのが「JSPO-AT」。
合格率は10~25%。
試験を受ける条件は、「スポーツ指導者養成講習会免除適応コース承認校」を卒業すること。
そのため、最低でも2年は学校に通いなおす必要があります。
・理学療法士の資格が活かしにくい
キャリアアドバイザーに必須の資格はありません。
優遇されるのは、国家資格のキャリアコンサルタントと、営業や販売の経験。
医療や福祉に精通しているとプラスになる場合もありますが、優遇されるほどではありません。
そのため、理学療法士としてのキャリアを転職活動に活かすことはできません。
理学療法士がセカンドキャリアを考える理由は「年収への不安」
PTの離職率は日本全体の離職率とほとんど変わりなく、平均的だと言えます。
PT(医療機関) | 10.2% |
PT(介護福祉領域) | 18.8% |
PT全体平均 | 14.5% |
産業全体 | 15.0% |
参考:「医療従事者の需給に関する検討会」「雇用動向調査結果の概要」
それでも、PTの離職率や将来性を不安視する声が多く聞かれる理由はなにか?
エン・ジャパンが行った調査によると、セカンドキャリアを考える理由について
※PTに絞ったアンケートではありません
1位:生涯現役で働き続けたいから
2位:老後の資金に不安があるから
「生涯現役で働き続けたい」理由には、「老後資金の不安」が含まれていると考えられます。
そこで、PTの「年収」と「昇給率」の実態を深掘りしていきます!
PTの年収は全国平均を下回ります。
理学療法士 | 432万5,200円 |
全産業 | 460万円 |
参考:「令和5年賃金構造基本統計調査」「民間給与実態統計」
年収が低い要因は昇給率にあります。
グラフを見ると、令和6年度の昇給率は全産業のなかでもっとも低い結果に。
産業 | 全産業の平均 | 医療・福祉 | 鉱業・採石 | 金融・保険 | 製造 | 運輸・郵便 | 教育 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
昇給率 | 4.1 | 2.5 | 5.9 | 4.6 | 4.4 | 3.2 | 2.7 |
【月給30万円の場合で比較】
鉱業・採石(5.9%):1万7,700円UP
医療・福祉(2.5%):7,500円UP
→1ヶ月に約1万円、年収にすると12万円の差が開いてしまいます。
診療報酬により、医療・福祉に関する料金はすべて国に決められています。
そのため、どんなに景気が良くても利益を増やすことは困難。
利益を増やせなければ、従業員の給料を上げるのも困難ということ。
経験年数 | 年収 |
---|---|
1年未満 | 306万円 |
1〜4年 | 369万円 |
5〜9年 | 402万円 |
10〜14年 | 447万円 |
15年以上 | 501万円 |
・勤続10年でも全国平均以下
・勤続15年でようやく500万円台
15年働いても500万円!?
家族を養うには不安すぎる!
さらに不安を助長するのが、PTの人数が飽和状態になっていること。
厚生労働省の公表によると、2040年にはPTの供給数が需要の1.5倍となると予測されています。
PTの人数が増えれば増えるほど、役職に就くのは困難。
役職に就けなければ、15年働いても500万円に届かないことは目に見えています。
年齢 | 年収 |
---|---|
20〜24歳 | 324万円 |
25〜29歳 | 387万円 |
30〜34歳 | 421万円 |
35〜39歳 | 458万円 |
40〜44歳 | 471万円 |
45〜49歳 | 505万円 |
50〜54歳 | 497万円 |
55〜59歳 | 589万円 |
60〜64歳 | 524万円 |
65〜69歳 | 307万円 |
・年齢を重ねるとともに年収は少しずつ上昇
・ピークは50代後半で500万円台
年功序列に近い傾向があるね。
スキルが年収に反映されづらいのが悲しい現実。
リハビリは、新人が行ってもベテランが行っても施設に入る収益は変わりません。
病院の場合は、新人でもベテランでも1日に同じ20単位を算定します。
「いち日に生み出す収益は誰でも同じ」という仕組みのため、一般の会社よりも昇給しにくい傾向にあります。
スキルの高いPTほど、給与に不満を感じやすいよね。
セカンドキャリアに移る自信がない場合のワンクッション
他の業界でやっていける自信なんてないよ!
PTとしてしか働いたことないんだから!
PTの将来に不安を感じていても、セカンドキャリアに踏みだせる人は少数です。
なぜなら、他の業界で働く自信がないから。
専門性の高いPTの知識を、他業種で活かすのは困難。
専門職は、転職に踏みだしにくいのも仕方のないこと。
セカンドキャリアに移る自信のない人は、「特養への転職」を挟んでください。
理由は、特養で働くことで他の業界でも通用するスキルが身につくから。
特養でPTとして働きつつスキルを磨き、自信がついたらセカンドキャリアに移る戦略です。
ここでは、特養で理事として働く私が、以下について解説します!
アンポータブルスキルしかもっていないから。
【アンポータブルスキルとは】
特定の業種でしか活用できないスキル。
PTとして身につけてきた、評価・治療のスキルは他の業界では役に立ちません。
そのため、アンポータブルスキルしかもっていない人は、他業界で働く自信がもてません。
反対に、どこにでも持ち運べるスキルをポータブルスキルと言います。
・コミュニケーション能力
・ライティングスキル
・時間管理術
このようなスキルは、どの業界でもどの職種でも役立てることができます。
セカンドキャリア3選で紹介した、以下の職業にも当てはまります。
・専門学校の教員
・福祉用具メーカー営業
・医療機器メーカーの営業
・生徒や販売先とのコミュニケーション
・要点を分かりやすく端的に伝える
・多忙な業務を限られた時間内でこなす
リハビリだけしていても、ポータブルスキルは身につかない!
専門職であるPTがセカンドキャリアに踏み出しにくいのは、仕方のないことなのです。
ポータブルスキルを詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください♪
・ライティング(プレゼン)スキル
・時間管理能力
なんで特養だとポータブルスキルが身につくの?
特養の仕事内容は病院と大きく異なるから。
リハビリ以外の仕事がたくさんあるんだ。
特養でのリハビリ時間は約5時間。
残りの3時間は、以下のような仕事に費やします。
・職員研修の企画と実施
・介助方法の提案と指導
・マニュアルや指針の作成
・地域でのリハビリ教室
・事故防止策の提案・周知
どれも「人に伝える」「説明する」ような仕事。
これらの仕事を、リハビリ以外の限られた時間で計画的に進めます。
毎日3時間、このような仕事をしていれば、「ポータブルスキル」が身につくのは当たり前!
「他業種で働く自信がない」
「ポータブルスキルを身につけたい」
こんな人は、特養でワンクッションおくことをおすすめします!
特養はPTの離職率も低く、働きやすい環境です♪
特養に興味のあるかたは、以下の記事を参考にしてください!
【まとめ】
PTを続けるには給与面での不安が大きい!
この悩みを解決できるセカンドキャリアは以下の3つ。
・専門学校の教員
・福祉用具メーカー
・医療機器メーカー
どれも、PTよりも高い年収が見込めて、PTとしての知識も活かせる職種。
他業種に移ってやっていける自信がない!
こんな人は、ワンクッション「特養への転職」を挟んでみてください!
特養なら、ライティングスキル・時間管理能力という「ポータブルスキル」が身につきます。
「ポータブルスキル」は、部署や職種が変わっても活かせるスキル。
PTとして働きながら、ポータブルスキルを磨けるのは「特養」だけ。
PTの将来性が不安なら、行動しましょう!
時代が変われば、時代に合わせて自分を変えていくしかないですからね♪