PTの役割は病院と違うの?
リハビリ以外にも求められることがあるのかな?
入職してから疑問に思った私も、実際に施設長に聞いてみたよ!
施設長の結論
リハビリはもちろん、それよりも職員・施設の質を高めてほしい!
なぜ、リハビリよりも施設の質の向上なのか?
理由は、特養ではリハビリだけをしていても利益がでないから。
つまり、リハビリしかしないPTは施設にとって負債にもなり得ます。
特養ならではのPTの役割について、詳しく説明していきます!
特養で花開いたPT
Bすけ
病院でダメ出しばかり受けていた、こんな私が、特養に転職した途端に理事を任されることに・・・。 特養で働く魅力を紹介します!
特養における理学療法士の役割がリハビリだけじゃダメな理由
PTなんだから、最も力を入れるべきはリハビリでしょ!
たしかにリハビリも大事。
でも、それだけではいけない理由があるよ。
リハビリ収益だけでは、PTひとり分の人件費もまかなえない。
リハビリの収益性について、病院と比較しながら説明します!
特養では、リハビリのことを個別機能訓練と呼びます。
契約した利用者から、1日に約120円を請求できる。
特養の入所定員数の全国平均は70.5人。
入所者70人とリハビリの契約をすると1年間で約306万円の収入になります。
120円×70人×365日=306万6,000円
特養のリハビリ収益では、PTひとり分の人件費にも届きません。
20分間を1単位とし、施設基準や疾患に応じた料金を請求できる。
1単位で770円~2,450円まで幅が広い。
1単位を1,800円として計算すると、病院のPTがひとりで生みだす収益は1年で約794万円。
1,800円×18単位×(365日-120日)=793万8,000円
特養と病院では、収益に2倍以上の差があります。
PT1人が生みだす収益 | |
---|---|
特養(70人) | 約306万円 |
病院(1日18単位) | 約794万円 |
病院では、PTの数を増やせば収益も増やすことができます。
反対に、特養ではPTをひとり雇った時点で赤字になります。
特養は病院よりもリハビリの必要性が低いし、保険の財源にも限りがあるから仕方ないこと。
厚労省の調査では、特養での個別機能訓練算定率は49.38%。
50%以下の施設しか算定していないことが、収益性の低さを表しています。
施設長に聞いた!特養の理学療法士に求める役割は職員・施設の質向上
施設は、リハビリで人件費を賄えないのは承知の上でPTを雇っています。
では、リハビリ以外の何に期待をしているのか?
施設長の答えは・・・
職員や施設全体の質を向上させること。
質を向上させるために、私が特に力を入れているのが以下の仕事。
・転倒事故を減らす取り組み
・職員の知識を高めるための研修
上記を実行し続けた結果、2年後に「理事」を兼務することができました!
施設によってPTに求められる役割は多少ことなるかもしれません。
ですが、リハビリだけしていても評価されないことは確か。
特養でPTに求められる上記の役割について、具体的に説明していきます!
転倒事故を減らすことで、骨折して入院してしまう利用者を減らす。
この目標を達成できると・・・
利用者:安心して生活できる。
家族:安心して任せることができる。
介護士:心理的負担や報告書作成の負担が減る。
施設:入院による損失額が減る。
Win-Win-Win-Winとなり、多くの人にとって達成するメリットがあります。
現在の職場に入職した当時、1ヶ月平均で7件の転倒事故が起きていました。
転倒→骨折による年間の損失額は173万8,397円。
結果、1年で約138万円の損失を減らすことができました。
転倒数(月) | 骨折者(年) | 入院日数 | 損失額 | |
---|---|---|---|---|
入職前 | 平均7件 | 7人 | 164日 | 173万8,397円 |
入職後 | 平均5.5件 | 4人 | 37日 | 35万9,247円 |
特養ではPTは自分ひとりだけ。
つまり、転倒事故を減らすのも自分にしかできない役割となります。
特養ではPTの知識は自分だけがもつ貴重なもの。
事故予防はPTの専売特許です!
・認知症の基礎研修
・転倒事故を防ぐためにできること
・褥瘡予防のためにできること
・災害発生時の対応方法
特養はリハビリの収益性が低いため、PTがひとり職場になることが基本。
つまり、PT領域の知識は自分だけがもつ強みだと言えます。
・ポジショニングは接触面積を広げるのが基本
・幻覚・幻視が見える人を否定しない
・フットレストの高さは膝90度が目安
「このぐらい介護士なら知っているだろう」と思っているようなことでも、知らない場合がほとんど。
PTなら知っていても当たり前なことを、発信すればするほど他の人の助けとなります。
病院では多くのPTがいるよね。
だから、自分だけが知り得ることはないんだ。
特養におけるPTの役割は多岐にわたります。
ただ、多岐にわたって仕事ができるのが特養の魅力だと感じています♪
特養でのやりがいについては、以下の記事で詳しく解説しています!
【まとめ】特養における理学療法士の役割は施設・職員の質を高めること
特養では、70人のリハビリをしても年間収益は約306万円。
リハビリの収益性が低くPTひとり分の人件費を回収することは困難。
そのため、PTはリハビリ以外の部分で施設に貢献する必要があります!
PTがひとり職場となる特養では、PTの専門的知識は自分しか知り得ない貴重なもの。
その知識を活かすことで、以下のような役割を担うことができます。
・転倒事故を減らす
・職員の知識を高める
リハビリ以外の仕事にも知識や技術を発揮できる特養は、PTが価値を示しやすい環境だと感じています。
価値を示すことができれば、私のような「ごく普通のPT」でも理事を任されることも♪
もし、特養での仕事に興味をもった場合は、転職エージェントの利用をおすすめします。
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